東急ハーヴェストクラブ鬼怒川/VIALA鬼怒川渓翠
世界遺産に登録されている「二社一寺」を有し、
長きにわたる歴史を刻む日光エリアには往時の風情をいまに伝える名建築が数多く残っている。
その中から今回は、大正天皇の静養地として造営された「日光田母沢御用邸記念公園」、
在留外国人に愛された「イタリア大使館別荘記念公園」と「英国大使館別荘記念公園」の3施設を紹介。
東急ハーヴェストクラブ鬼怒川・VIALA鬼怒川渓翠からは車でおよそ1時間で到着できるため、
連泊中日のワンデートリップにもおすすめだ。
My Harvest
大正天皇の皇太子時代からの静養地として造営され、その後3代にわたる天皇、皇太子がご利用になられた日光田母沢御用邸。現在は記念公園として一般公開されており、往時の皇室の暮らしに思いを馳せながら建物内を見学したり、趣深い日本庭園を散策したりできる。
実は、ここはもともと明治時代の銀行家・小林年保の別邸だったところ。御用邸を建設する際に江戸時代の紀州徳川家江戸中屋敷が移築され、さらに大正期に増築した部分が連なっている。そのため時代の異なる様式が1カ所に集まっており、和風建築にシャンデリアや絨毯、ビリヤード室など西洋文化を取り入れているのも興味深い。
部屋数は、居室や公式の場、臣下の部屋など106室にのぼるが、その中でも天皇の謁見所は必見だ。格式ある書院造りで、柱は御料林から切り出された尾州檜の最高峰のみを使用。畳の上には英国製の絨毯が敷かれ、玉座や帽子を置く卓子などが配されるなど厳かな雰囲気が漂っている。
奥日光に広がる中禅寺湖畔は、明治中期から昭和にかけて各国の大使館や外国人の別荘が建てられ、国際避暑地として発展してきた歴史を持つ。昭和初期に建設されたイタリア大使館別荘もその一つだ。現在はできる限り往時の様子を復元し、イタリア大使館別荘記念公園として公開している。
建物は建築家であり外交官でもあったアントニン・レーモンドの設計によるもので、杉皮をふんだんに用いた内外装がヨーロッパの山小屋を彷彿とさせる。1階は広々としたワンルームにリビングと書斎、ダイニングスペースをレイアウト。地元の石を積み上げた暖炉がアットホームな雰囲気を醸し出している。
湖側には大きな窓を備えた広縁が設けられ、視界いっぱいに広がるのは風光明媚な中善寺湖の眺望。2階は、ベッドルームなどのプライベートスペースになっており、ここからもきらめく湖を一望できる。各所に配されたソファは実際に座ることができるので、身を委ねて往時の雰囲気に浸ってみては。
イタリア大使館別荘記念公園を訪れた際は、徒歩約3分のところにある英国大使館別荘記念公園にも立ち寄りたい。この建物は英国の外交官であり、明治維新に大きな影響を与えたとされるアーネスト・サトウが1896(明治29)年に建てた個人別荘で、その後2008年まで英国大使館別荘として使われていた。現在は栃木県が譲り受けて修復し、一般公開している。
外観は、黒い板張りの外壁と白い柱と広縁の手すりのコントラストがモダンで洗練された印象。現在、1階ではサトウの生涯や、往時の奥日光に関する資料などを展示している。2階には、広縁越しに中禅寺湖を一望できるティールーム「南4番Classic」があり、かつて中禅寺湖畔に花開いた国際避暑地の文化体験ができる。英国大使館監修のスコーンをメインにしたミニアフタヌーンティーや今年から始まった本格アフタヌーンティーを香り高い紅茶とともに愉しみたい。
体験できる施設