東急ハーヴェストクラブ山中湖マウント富士
東急ハーヴェストクラブ山中湖マウント富士がある山梨県では、
気候、土壌、自然環境などの風土を生かして
お酒づくりが盛んにおこなわれている。
日本一の生産量を誇るワインをはじめ、GI認証を取得している日本酒、
ほかにもビールやウイスキーなど、その種類はさまざまだ。
今回は山梨県の中でも勝沼エリアに注目。
日本ワイン発祥の地で新たな個性を打ち出す老舗ワイン醸造所、
地元の素材を生かしたクラフトジン蒸留所、
こだわりのクラフトビールブルワリーを紹介する。
My Harvest
JR塩山駅から車で約10分。塩山竹森地区にひっそりと佇む蒸留所がある。ここはクラフトジンをつくる「GEEKSTILL」。もともとブドウの苗木を育てていた岸川勇太さんが、酒好きが高じ地元で競合のいないクラフトジン造りをはじめたという。
ジンの定義は穀物をベースに造られた蒸留酒にジュニパーベリー(ねずの実)で香り付けしたスピリッツのこと。これにさまざまなボタニカルから抽出したエキスを加えることでバリエーションを広げる。GEEKSTILLでは純米酒を蒸留し、その季節のボタニカルを近くの里山から入手して加える。ラインナップは定番のブドウの花をはじめ、30種類以上を揃えている。
「ジンはローカル感、季節感を盛り込めるので、造り手の個性が表現できる面白いお酒ですね。なお、ジン造りに使ったボタニカルは廃棄せず、染色の材料として染め物作家さんに譲ったりしています。また、ジンはソーダやトニックで割るイメージが強いですが、緑茶や烏龍茶、野草茶、めずらしいところでは出汁で割って食中酒として、コーヒーや紅茶、アイスクリームに落としてデザートとして味わうのもおすすめです」。
GEEKSTILLではショップも併設しており、バーカウンターで試飲もできる。新たなジンの世界に踏み出す入り口になるかもしれない。
次にご紹介するのはJR勝沼ぶどう郷駅から車で約10分、岩崎地区に広がる1913年創業の老舗ワイナリー「くらむぼんワイン」。この〝くらむぼん〟という特徴的な名称は、宮沢賢治の童話『やまなし』にちなむ。かつては「山梨ワイン醸造」という名称だったが、創業100周年を機に4代目の野沢たかひこさんが人間と自然の共存、他人への思いやりなどを謳った宮沢賢治に共感し、社名変更したという。
そんな野沢さんはフランス・ブルゴーニュでワイン造りを学び、フランスの自然派ワインに感銘を受けたそうだ。自社畑のブドウ栽培では雑草も抜かず、肥料もあまり与えない。こうすることで風土がワインにうつしだされる。ブドウも日本固有の品種で、勝沼に適した「甲州」(白ワイン用)と「マスカット・べーリーA」(赤ワイン用)をメインに使っている。おすすめワインは、果実の素直な風味が和食によく合う「くらむぼん」シリーズ。ラベルも童話『やまなし』に登場するカニやカワセミをモチーフに、地元のデザイナーが手掛けている。
ワイナリーの一角には大正時代の養蚕農家の母屋が移築されており、ワイン造りを紹介する資料室やワインショップ、有料テイスティングコーナーなどが設けられているので気軽に立ち寄ってみては。
造り手のこだわりと個性が反映される少量生産のクラフトビール人気が高まっている。そんなクラフトビール醸造所の一つが勝沼町岩崎地区にある「IWAI BREWERY」。自家醸造するビールはラガー、IPA、ホワイトエール、スタウトなど4種。おすすめは、日本生まれのソラチエースホップを使用しヒノキや花のような香りをほのかに感じる「イワイ・ラガー」や、オレンジやグレープフルーツなどのシトラスと花やスパイシーなフレーバーが特徴的な「イワイIPA」など。料理とのマッチングを考慮した味わいを追求しているのが特徴で、これらのクラフトビールは隣接する「IWAI TERRACE」で料理とともに愉しめる。料理は、黒ビールでつくったBBQソースを使ったボリュームたっぷりのイワイBBQバーガーをはじめ、パスタやフレンチトーストなどビールとの相性抜群のメニューを揃える。気候がよければ甲府盆地や南アルプスを一望できる、開放感抜群のテラスからの景色を愉しみたい。